rendezvous
- interaction of light and brain -

2015.03
Seian ART-SITE / Gallery Window, Shiga
《rendezvous》
《rendezvous》は、光の変化と鑑賞者の脳波がインタラクティヴに関係する観客参加型の作品である。
二人の鑑賞者が、目前に広がる色彩の変化と音響の変化を鑑賞する。鑑賞者の頭部には脳波測定装置を装着し、刻々と変化する脳波パターンの変化が測定する。それぞれの脳波パターンから、快・不快情動の判定を行い、比較的強い快情動が得られた場合、その時に提示している色や音を継続する。一方、快情動が弱くなった際には、PCによって色と音のバリエーションをランダムに選択し、再び快情動が確認されるまで提示し続ける。こうして各鑑賞者にとって最も快適な色と音の組み合わせが選択され、持続することになる。しかし実際は二名同時に体験することから、片方の鑑賞者は他方の鑑賞者が提示している色や音の影響も受けることになる。そのことによって、原理的には参加する二名が共同しながら、両者にとって快適な光と音が選択され、提示されることになるのである。作品《rendezvous》は、二つの脳が恊働して創りだす光体験の場と言えるだろう。
人間の脳は外部からの直接的な刺激や過去の記憶、あるいは未来の予測を契機に、快・不快情動が生起する。かつ刻々と変化し続ける。それは不快な状況を避け、快適な状況を得るための人間に備わったモニタリングシステムであり、生存たのめの根源的なメカニズムである。また最近のニューロサイエンスの知見によれば、情動は知性と完全に区別できるものではなく、むしろ知的な活動の礎であり、両者は強くリンクしていることも明らかにされつつある。
《rendezvous》は、このような私たちの生と密接に関わりのある情動について、芸術(メディアアート)と科学(ニューロサイエンス)の出会いを通じて探ろうとする試みである。古い脳(情動脳)と関わりが強い芸術的営為、新しい脳(知性脳)と関わりの深い科学的知見、両者が出会い融合することは、人間理解のためのもう一つの方法ではないか。人と人の出会い、情動と知性の出会い、芸術と科学の出会いなど、多層的なランデヴーによる新しい光の場を実現したい。