koichi mori / takehisa mashimo
research projects

virtual / actual

Generation, Transformation, Fluidity

virtual / actual
2008.06
Kyoto Art Center, Kyoto

Concept

“virtual/actual”は、人と自然を貫く生命の潜在的多様性をテーマとするメディアアート・プロジェクトである。

人類の脳は、5億年以上の歳月をかけて巨大化し、極めて複雑な機能を有するに至った。脊椎動物の脳は、その進化のプロセスの中で、古い脳(大脳辺縁 系)に新しい脳(大脳)を継ぎ足すことによって、高次の情報処理機能を持つ人類を生んだと言われている。進化論的に見れば、種の保存を目的とする新しい脳 の発達こそが、動物と人とを区分する分水嶺なのだろう。こうして新しい脳の機能を肥大化させた人類は、言葉や文字を生み、武器を作り出し、都市文明を育む ことで、生態系の頂点に立つ存在となるに至った。

しかし一方で、こうした人間に特有の能力こそが、大量殺戮兵器による戦争を招き、生態系の破壊を誘発し、地球環境問題を引き起こす要因となっている ことを直視すべきであろう。人類は、自らの脳の進化の行き過ぎによって、人類そのものの存続すら困難な状況を招いてしまったのである。 新しい脳の発達によって切り離された人と自然の間に、根源的な関係性を回復することは可能であろうか。ドゥルーズによれば、人と自然を貫く根源、それは生 命の次元である。生命の潜在的多様性を再発見し、賞賛すること。そのために、いかなる方法が可能であろうか。この問いに応えることは簡単ではないが、生命 の有り様を科学的・唯物的に検証する情報工学的アプローチ(新しい脳の成果)と、人間の美的感情に揺さぶりを与える芸術的手段(古い脳に由来する領域)を 融合すること、すなわちメディアアートの方法が有効ではないか考える。

“virtual/actual”では、鑑賞者の脳の状態を脳波測定装置によって測定し、その測定値を複雑系アルゴリズムを介したイメージとして視 覚化することを試みる。刻一刻と変化する人間の生体情報が、生成変化する美的イメージに置き換えられ、鑑賞者へとフィードバックする。これは脳と知覚世界 のダイナミックな相互作用を促す場であるとともに、生命の潜在的多様性を美的次元において再発見することで、人と自然の根源的な関係性を体感する場となる のである。

Interactive installation

“virtual/actual_Interactive installation”は、スイス・アルプスにおいて撮影した山脈のパノラマ映像からスタートする。やがて山脈は、複雑な線(微細な粒子の連続によっ て構成された)の集積へと変化する。それらは、刻一刻と変化する身体の状態に応じて、波のうねりのようなダイナミックな運動のイメージへと移り変わる。や がてこの抽象的な線の集合は生命の多様性を、常に変化し続ける運動として描き出す。地球のマントル対流や受精卵における個体発生のプロセス。植物の成長の ようなフラクタルな生成イメージ。渦状の雲や水流のような流動的運動など。生命世界における運動の多様性が、ある時は高速かつダイナミックに、またある時 はゆっくりと繊細なイメージとして展開する。やがてこの運動は微細な波のパターンとなり、ハワイ・オワフ島から撮影した海原の映像へと変化して終わる。

山は数千万年に及ぶ造山運動の、無数の微粒子による運動の軌跡である。海は一瞬たりとも止まることのない、無数の微粒子による複雑な流動体である。 ドゥルーズによれば、私たちの身体もまた無数の微粒子の運動なのであり、であるからこそ他の身体や環境との交差・交通へと開かれているのである。 “virtual/actual_Interactive installation”は、言わば微粒子の運動としての身体を通じて、生命の潜在性(virtual)が現働化(actual)する時の、生成変化す る運動=流動的な差異化のプロセスを体験する場なのだ。

System

virtual/actual original software, Interactive brainware visual analyser(IBVA), Apple MacPro, Canon SX7, Canon SX50, BOSE 55WER, YAMAHA P1000S

Installation

水の惑星と呼ばれる地球。”virtual/actual_Installation”は、地球の水圏をはじめ大気圏、岩石圏に生息する生命や、現 象をデータ化しヴィジュアライズするプロジェクト。それら生物圏に存在する微生物や植物、動物などの形態やDNAなどの生命情報をデータベース化し、また 気象や地殻変動など地球の流動的な現象をリアルタイムなデータとして取り扱い、メディアテクノロジーを用いて可視化する。

“virtual/actual_Installation ver.1″では衛星によって撮影されたビスケー湾(フランス西海岸)からスイス・アルプス(マッターホルン)およびハワイ・諸島の画像を地球の自転の速 度に合わせ てスクロールし、透明なスクリーンに映像を投影する。地球の地表と海面の状態を直感的に把握できる映像インスタレーション。

Exhibition

京都芸術センター
北ギャラリー+南ギャラリー
2008年5月20日(火)―6月8日(日)

制作:SZ(砥綿正之、前田剛志、真下武久、森公一)

Concept and Image by 砥綿正之、森公一
Program and Computer graphic by 真下武久
Edit and Performance by 前田剛志
Installation by 二瓶晃
Sound by 南琢也 (Softpad)

主催: SZ
共催: 京都芸術センター
協力: 京都市立芸術大学、同志社女子大学、成安造形大学、大阪成蹊大学芸術学部、京都嵯峨芸術大学、Google(順不同)